━─ LRWC ニュース━─━─━─━─━─

2月27日-銚子電鉄

銚子電鉄サポーターズ近況

  • 硬券型会員証の見本公開
    銚子電鉄サポーターズは27日、公式ブログで硬券型会員証の見本写真を公開した。3月4日12時の犬吠駅受付分より発行が開始される。詳しくは公式ブログ参照。鉄道ファンの入会が促進されることが期待されるが、これで急に会員が増えるとすれば、それはそれで複雑な心境ではある。
  • 高額提供者現わる
    26日のサポーターズ公式ブログによれば、25日現在の基金は1127万1293円となった。このうち、300万円の提供1件(千葉県内在住女性より)、および100万円の提供1件(都内在住男性より)が最近1週間のうちにあったことが公表された。
  • 基金用途に疑問の声
    26日の公式ブログコメント欄で、サポーターズ基金の用途に疑問の声があった。今のところ使途に問題があったと思われる実例はないが、それは使途(すでに使われたもの)が開示されていないからでもある。NETで発言する者は全体のうち僅かであり、大半のNET住人は議論を傍観し注視している。発言数が少ないことはサポーターズの運営に疑問を持つ者が少ないからかも知れないし、そうでないかも知れない。
    NET住人同士のコミュニケーションは外から見るほど強くはなく、「相手は自分の苦しい立場を理解してくれているはず」と思い込むことは禁物である。また悪い噂が広まりやすいところでもある。NET住人への説得をNET住人に任せることは、NET住人同士の亀裂を招く可能性もないとは言えない。責任ある立場のサポーターズによる適切な対処が望まれる。

2月21日

銚子電鉄 君ヶ浜駅アーチ撤去

  • 老朽化
    君ヶ浜駅の凱旋門風アーチが一部の柱を残して撤去された。当初は19日(月)にアーチと待合室が撤去されるとされていたが、銚電次長ブログを見ると21日(水)に撤去された模様。待合室の撤去は未確認。いずれも老朽化が酷く、早急な対応が必要だった。
  • 内山の遺産
    君ヶ浜駅のアーチは、内山健治郎被告が社長だった当時に建設されたもの。全駅を外国風の駅舎に立て替える計画だった。由来が由来だけに評価は難しいが、なかなか好ましい建造物であったようにも思う。ただ、近くで見るといかにも安普請に見えるとの声もある。
    犬吠駅や観音駅など、内山時代には大規模な駅舎の改築が行われた。これが銚電の経営を悪化させたとも言われている(内野屋工務店出費の可能性もあるが詳細不明)。一方で両駅は現在多くの人が集まるスポットともなっており、これらがない銚電を想像することは難しい。車輌から撤去されたアル・カッポレ(ゴリラマーク)が今も乗務員のワッペンなどに使われているようでもあり、横領は別として、内山時代の経営の評価には長い時間が掛かりそうだ。
  • 在りし日のアーチ
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2月20日

銚電のない銚子半島

  • 思ったより広範に及びそうな影響
    銚子電鉄を救えwikiにThe Day Afterというページを設置した。銚電が廃止された場合の影響を指摘しようと地図やデータを改めてじっくりと見て、思ったより影響が大きそうなので少々驚いた。
  • 銚子半島に集中する公共公通
    銚子電鉄が走っている銚子半島では路線バスの重要性が少ないと思っていたが、バス路線図を見ると、路線は銚子半島と利根川沿いに集中している。大平洋側を旭市方面へ向かう路線があるが、本数が少なく午後6時代に最終バスが出てしまうことから利用の多い通勤路線とは思えない。これ以外の銚子駅南西の内陸部は、駅に近い春日台循環バスを除けば公共交通空白地帯となっており、自動車利用がメインであると思われる。学生や老人たちがどうやって生活しているか不思議になるほどだ。
    これを見る限り、銚子駅以東の住民の公共公通依存率が他地域より比較的高く、銚子駅商圏の主要な顧客となっている気がするが、実際の所どうなのだろうか。春日台以西の住民は自家用車生活で旭市の商圏を向いている、と考えるのは恣意的に過ぎるか。地域住民の生活に関して、銚子駅がどの程度の商圏を持っているのか、また銚電廃止で商圏がどう変化すると予想されるのか気になるところである。
  • 鉄道から高速バスへの流出
    銚子〜東京間の高速バスは概ね毎時2本、ラッシュ時は3〜4本が運行されている。さらに平成16年7月24日からは土・日・祭日便が設定され、増便による行楽需要の掘り起こし(或いはJRからの獲得)に熱心なバス会社の積極性が伺われる。
    一方でJR東日本は新型特急車両を投入するなどしているが、特急として銚子まで来る特急しおさいの運行本数は1日わずか5往復程度に過ぎない。これではビジネスユースはもちろん、観光に使うにも不便である(某地方鉄道関係者が横浜から帰るときでさえ高速バス利用だったような…)。The Day Afterに記したとおり、銚子駅の定期外乗車人員は平成7年度から16年度までの9年間に、実に33.0%も減少している。
    労働環境の変化(週5日同じ職場に出勤しない労働者が増えると、定期客が減り不定期客が増える傾向にある)も考えると、高速バス利用を含めた観光客総数が減少したことを考慮に入れても33.0%の減少は大きすぎる。バス利用者数のデータが見当たらないので断言できないが、少なくないビジネス/観光客が高速バスへ流出したのではないか。高速道路の発達とバス業界の規制緩和という時代の変化も高速バスに味方している。痛ましい事故(兄の運転する観光バスの事故で、その弟である16才の添乗員が死亡)が最近あったが、タクシー業界の例を見れば規制緩和の流れは当面変わらないだろう。
  • JR東日本の憂鬱
    JR東日本のような大手鉄道が、セミ・ローカル線の銚子地区のような些細なことに大きな関心を向けるだろうかと考えてみた。総武本線末端区間は地方線とは言え重要路線、廃止など絶対に考えられない。特急しおさいの廃止も避けたいところだろう。となれば、路線と金の掛かる特急車両を何としても維持しなければならない。そのためには赤字を出さないよう収益を上げなければならない、でなければ首都圏で上げた収益が台無しである。
    もし銚電が廃止されたらどうなるだろう、これ以上観光客が減っても特急を維持できるのか。観光客が全く減らなくても、高速バスへ流出すればJRにとっては観光客が減ったも同じである。銚電の無い銚子に、観光客は鉄道でやって来てくれるのだろうか。もうJRは「少々の些細なこと」とは受け取れない。既に大きなダメージを受けている、これ以上の乗客減少は許されない。
    実のところ、銚電廃止後の交通体系の変貌を一番冷静に予測しているのはJRなのではないか。ちばDCの車内広告に犬吠埼の写真を用いるなど、このところJR東日本はいつになく銚電に優しいように見える。ただこうしたことは他の地方鉄道に対してはあまり見られない対応で、どういう訳なのかと不思議に思っていた。JRが我が身のことと考えて真摯に動いているのなら合点がいく。
    だったらもっと支援してくれと言いたいが、表立った支援は無理だろう。そんな事をしようものなら、日本各地の地方鉄道が一斉にJRグループに支援を求めはじめる。JR東日本には上手く見えない支援を続けてほしいところ。
  • ボディ・ブロー
    地域の発展の象徴であった鉄道は、産業革命の恩恵を遅れて受けた人々をまずは荷物運びという重労働から開放し、次に富める者、その次に富めない者を徒歩移動の苦痛から開放した。自動車輸送の発展はまずトラックが貨物輸送を鉄道から奪い、次にマイカーが富める者を鉄道から奪い、そしていま高速バスが車を持たない者さえ鉄道から奪おうとしている。
    鉄道の衰退の多くの場合は不可逆的であり、それは緩慢にやって来る。編成両数の短縮、列車本数の削減、その時には分からなくともダメージはボディ・ブローのように蓄積される。段々と不便になる鉄道、少しずつ離れてゆく乗客、やがてその限界に来たとき始めてその事実に気付く。
  • 乗客増やさず稼ぐ方法
    限界とは何か。総武本線の廃止はないという前提でも、列車の運行区間の分割と短編成化・本数削減は考えられないことではない。サービス向上を捨て、鉄道しか頼れない乗客のみをターゲットに絞る。列車は基本的に総武本線の途中駅までとし(土地勘が無いが、例えば成東駅や旭駅など)、そこから銚子までは短編成の区間運転化。着席機会が増え、山武(成東)/旭市民には喜ばれるだろう。短区間を理由にトイレは装備しない。乗客は少なくても、本数を削った上に短くした列車に同じ数を乗せればスシ詰め状態となる。2両に詰め込めるならラッシュ時以外はワンマン化して車掌を廃止。猿田駅は交換設備撤去、1日68人(平成16年度)しか利用者のいない倉橋駅は廃止。列車速度は低下させる。
    運転士/車掌の要員減、運用車輌の所要減、設備維持の省力化、これらにより数億から数十億円が節約できる。サービス低下により乗客が減っても、それより経費節減効果が大きくなれば踏み切る可能性はある。サービス低下の最たるものは総武本線末端区間の廃止だが、廃止は免れても酷い状況にはなり得る。いまの日本の地方はどこも酷い状況だと言うが、今より酷くならない保障はない。「銚子は首都圏だから他の地方とは違う、総武本線は悪化しない」と信じることは正しいのだろうか。
  • 地方では既に始まっている
    だいぶ以前だが、データイムに701系で仙台〜福島間を乗車したことがある。仙台発は4両編成、県境付近で分割して2両。まさに車内はスシ詰め、立っている人を含め乗客の殆んどがご老人。県境を越えて福島に近付くと増結して再び4両になり混雑は解消したが、交通弱者を見越したあからさまな省コスト運行。これはひどいやり方だと思ったことをハッキリと覚えている。NETを調べれば分かるとおり、これは特異なケースではない。程度の差はあれ、東海道本線ですら静岡地区のローカル輸送は似た状況である。「特急誘導」とも呼ばれ、特急料金を徴収するために意図的にローカル輸送を不便にしていると囁かれているが、総武本線には誘導すべき特急すらない。
    綺麗な塗装の新型特急車両が銚子にやって来ても、それは銚子に明るい未来を約束するものではない。それは高速バスに対抗するためのJR東日本の努力の結晶だが、永劫にその努力を続けるとは限らない。JRが努力をやめたと銚子の人が感じた時、その時はもう遅いのである。列車で来た観光客がそのサービスの質のあまりの低さに幻滅したとき、ある人は次はバスで銚子に来ようと思うだろうし、またある人はもう銚子には来くるまいと思うだろう。そして鉄道が疲弊した観光地に、今までどおり高速バスは観光客を連れてきてくれるのだろうか。
  • 地元の意識は高いのか?
    銚子観光の中心は犬吠埼、銚電廃止では観光が成り立たないと犬吠埼の観光旅館は大反対…と思いきや、NETで見る限りではそのような動きは伺えない。犬吠埼観光の主流はバスやマイカーに移ってしまい、旅館側としてはあまり危機意識が無いのだろうか。
    地元の人からすれば余計なお世話だろうが、どうも地元の関心が低いようなのが気になる。感情的に応援する人はいるとしても、わが街の未来が掛かっていると考えている人がどのくらいいるのだろうか。
    いま銚子には銚子電鉄があって、これを存続させようと真剣に頑張っている鉄道マンたちがいる。そしてこれを応援する、街づくりを真剣に考え活動している組織と人たちがいる。「烏合の衆」の言葉通りだがNETにも支援しようとする者たちがいる。マスコミの目も向いているし、ちばDC期間中でもある。JR東日本もどうやら好意的らしい。これだけの好条件が揃っていながら、決定的に足りないものが一つあるように感じる。それは地元の人たちの真剣な関心である。
    今の支援状況はベストではないかも知れないが、これ以上を求めるのは難しい。今立たなくて次はあるのか。いま地元が立たないとは、次は銚子電鉄なしで立ち上がらなければならないということである。今よりさらに疲弊した銚子、廃止された銚電、サービスが低下した総武本線、進んだ高齢化、若者の更なる流出。「次」に銚子が悲鳴を上げるときには日本中の地方自治体が悲鳴を上げている筈である。その時にマスコミやNETが銚子だけに目を向ける理由を見い出せるだろうか。NETに巣食っている者の中には鉄道マニアも少なくない。連中はしぶとく細々とした情報を集め続け、何が楽しいのか飽きもせずHP作りに没頭し続ける(ここの管理人/ry)。銚電が無くなった銚子に、NETは次にどれだけ目を向けるのだろうか。
  • 銚子電鉄が存る理由
    くりはら田園鉄道の通っている自治体の名前を私は知らないし、鹿島鉄道の通っている自治体の名前を私は知らない。いずみ鉄道、大井川鉄道、高千穂鉄道のそれを私は知らない。その周辺自治体の名前を私は知らない。今回のことがあるまで、神栖市は知っていたが旭市は知らなかった。ましてや、廃止された鉄道が通っていた自治体の今の事情など殆んど知らない。最近知ったのは夕張鉄道があった夕張市ぐらいか。ただ、それらの鉄道が日本のどのあたりにあるのかは知っている。そしてその詳しい位置を知るため、地図を見ることはある。
    犬吠埼は観光目的地足り得るのかも知れない。しかし私は各地の岬の名前は聞いたことがあるとしても、それを巡るほどのマニアではない。ドライブの寄り道ポイントとして岬はかなり魅力的だが、マイカーを持たずバスでしか行けない岬をめぐるマニアがどれほどいるのだろうか。
    鉄道マニアでなくとも、地方鉄道を旅行行程の一つとする人は少なくない筈である。鉄道が無い町より、その隣にある地方鉄道が通っている町のほうが魅力的に思えるし、鉄道線のない見知らぬ土地の地図を目で追うことは少ない。九十九里に魅力的な土地があるのかも知れないが、その鉄道から離れた長い土地の地図を見ても、まず何処に見をやって探せばいいのか分からない。自身が鉄道を趣味にしているせいもあるが、見知らぬ土地の地図を見れば、真っ先に見るのは地方鉄道線沿線である。
    地方鉄道が消えるということは、マイカーを持たないツーリストからその地の記憶が消えることである。資金力のある団塊世代が観光業のターゲットとなっていることは既に知られている通りだが、その世代は次第にマイカーを手放してゆく世代である。 銚電は銚子半島の少しの通勤通学客を運び、観光客の少しを運ぶ。そして日本の各地の人が銚子を知る少しのきっかけとなっているかも知れない。しかしその「少し」が一度に失われる意味を、まだ真剣に考えられていないのではないか。特に観光にかかる銚子電鉄の意義が、あまりに低く捉えられているように感じる。銚電を救えば全て解決するわけではないが、銚電が無くなっても今(昨年11月以前)と同じ知名度を保っていられるとは思えない。今日生まれた子供が20年後に旅に出るとき、まだ拙いその人の地理知識の中に銚子という2文字があるのだろうか。
  • あしたのゆくえ
    そろそろ銚電が無くなった未来を真剣に考えなければならないのではないか。民間の調査会社や大学の研究機関のシミュレート結果であれば、地元の人も銚電が無くなることの意味を真剣に考え始めるだろう。みんなで助け合おう、街づくりに参加すれば素晴らしい未来がある、そのような「何にでも適用できる」言葉だけでは人の心の底までは響かない。不用意に不安を煽る行為は論外だが、地域の結束には危機感の共有が有効である。その危機がまがい物でないのなら、危機感を持つことは必要であると思える。
     

2月18日

えちぜん鉄道LRT化へ一歩

銚子電鉄レール交換

2月15日

1月中旬から現在までの、最近1ヶ月の動向

銚子電鉄を救えwikiの閉鎖と再開

  • 1月17日に銚子電鉄を救えwikiの閉鎖を告知し更新停止、その後wikiシステムを入れかえた上で再開した。新たにLRWC(このHP)を開設し、銚子電鉄を救えwikiの主要コンテンツを移設した。

廃止へ向けた地方鉄道の動き

銚子電鉄

枕木交換開始

  • 銚子電鉄は年度内に枕木や踏切設備などの補修を終えることを決め、1月23日に関東運輸局へ改善状況を報告した。これに合わせ、2月以降に枕木の交換作業が本格的に始まった。現在は1日あたり30本前後が交換されている。
  • 当初は夜間作業であったが、苦情により昼間の列車間合での作業を中心に行うこととなった。

銚子電鉄オンラインショッピングモールを開設

  • 銚子電鉄は1月30日付で、バリューコマース社のアフィリエイトプログラムを利用した「銚子電鉄オンラインショッピングモール」を開設したと発表した。労せず収益を上げられるビジネス方式、一方で社長・労組委員長・従業員一同の文字。あまり多くは言うまい。
  • 利用者が多ければかなりの収益を上げられるが、日常的に使ってもらえなければ殆んど収益にはならない。まずは周知が必要だが、銚電HPのトップから辿り難いページ構成は何とかする必要があるだろう。いっそトップページに直接アフィリエイトバナーを置いたほうがいいかもしれない。
  • 一見、東急ハンズやJTBなど一般的な利用度が高いバナーが並んでいる。一方で、真偽のほどは不明だが、〇茎手術の広告バナーが見える人もいるという。挨拶文には「ご覧頂くとお分かりの通り、一般的に見ても購買の機会がかなり多い店舗を並べて頂いており」と書かれているが、或いはターゲティング広告なのかもしれない。良からぬ広告が見えた場合、クッキーをオフにするとよい。

銚子電鉄サポーターズの動向

  • 本田真宏氏、運営委員に
    2ちゃんねるの銚電清掃ボランティアの中心メンバーである本田真宏氏が、銚子電鉄サポーターズの運営委員(清掃企画担当)となった。
  • ブログ広報、本格化か?
    2月12日の銚子電鉄サポーターズ公式ブログには、清掃ボランティアや踏切部品の贈呈式、枕木交換作業の様子などの写真が掲載された。やはり最新の現地写真には訴求力があり、今後も高い頻度で掲載を継続して欲しいところ。
  • 支援額、600万円超に
    2月12日現在で入会者数2200名超、支援額619万8337円となった。少なくない額だが、現在のペースが続けば3月15日頃の時点で目標額の4割程度に留まる見通しである。
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NET清掃ボランティアの動向

  • サポーターズとの連携
    先に触れたように、2ちゃんねるの清掃ボランティア中心メンバーである本田真宏氏が、銚子電鉄サポーターズの運営委員(清掃企画担当)となった。2月11日には地元組織(NPO法人NALC銚子)との初の合同清掃が君ヶ浜駅で実施された。
  • NET清掃ボランティアの意義
    外部からの十数名ばかりの作業力にどれだけのことが出来るか、労働力の運用効率のみを考えると疑問がある。確かに清掃は進んだが、簡単に言えば地元で十数名の清掃ボランティアが活動すれば、同様の清掃を行うことが出来る。
    一方で地元から見れば、NET清掃ボランティアは地域外からの支援の象徴でもある。地元の人にとっては、いくらNETで大きく扱われるよりも目の前に人間がいるほうが支援を実感できるだろう。応援や批判が多いのは、それだけNET清掃ボランティアが人目につきやすいからである。NET清掃ボランティアは実際の作業力より、NET支援の広告塔としての役目のほうが大きいと考えられる。地元清掃ボランティアとの合同活動が始まった今、その広告塔としての役目の比重は今後大きくなると思われる。
  • 問われるアイデンティティ
    本田真宏氏が銚子電鉄サポーターズ運営委員となったことで、改めてそのアイデンティティが問われることとなった。地元組織の活動の一つとなったのか、或いは今でも2ちゃんねるの活動なのか明確となっておらず、これについての関心は地元とNETでは大きく異なるようである。
  • 問題は山積み
    組織としてのアイデンティティ、地元との関係、ボランティア各人の責任意識、そしてその行動と問題は山積みである。NETボランティアが活動すればするほど地元が何もしていないという印象が形成されやすくなることもあり、外部からは容易には確認出来ないが、この点を気にして活動を快く思わない向きもあるのではないか。一方で地元との連携を重視すれば、NET住人は置き去りにされたと感じるだろう。NETボランティア関連人物の行動への疑問も出ており、住所や氏名等は管理しているとしても、普段どこで何をしているか良く分からない人物の集団にどれだけ信頼を置くかという問題もある。
    一方でこれらは、清掃ボランティアに限らず地域とNETの連携活動の全てに共通する問題とも言える。問題の焙り出しと対応策の策定、NET清掃ボランティアはその雛形となっている。その経験が銚電支援の関連活動の運営に人知れず生かされているとすれば、雛形としてのNET清掃ボランティアの意義は、広告塔としてのそれより遙かに大きいであろう点は指摘しておかねばなるまい。
  • 問題は想定内?
    清掃以外を含め、NETボランティアは早い時期から雛形としての役目を期待されていた節がある。11月15日の緊急報告から僅か1ヶ月半後の初日の出輸送にNETボランティアが活用されたことも、よくよく考えてみれば普通では考えられないことである。これらは普段から街づくりに関心がある人物(あえて誰かは指摘しないが)の決断ゆえに出来たことであろう。
    問題も含めその後の経過は、ある程度予測されていたのではないか。街づくりにとって、組織の分裂問題などは初歩的な対処課題なのかも知れない。NETとの連携活動にしても、雛形は問題の焙り出しと言うよりも地元民への教材として必要だったようにも見える。
    連携活動の形が一見なにげに今の形に落ち着いているように見えるが、想定した形に誘導されているとすれば、ここまで導いた人物は市民組織づくりに関しては相当な手練れである。まさか11月15日の時点ではこうなることは予想出来なかったはずで(そもそも緊急報告がHPに掲載されたこと自体が予想外だった)、日々の列車運行もままならない上に、ぬれ煎餅の製造発送が全く注文に追い付かず、さらには市や国交省、果ては報道への対応に追われる激務の中で極めて短期間にこれだけの組織の設立を実現するためには、相当な常日頃の頭脳鍛錬が必要だったはずである。一方でNETへの対処力には不明な点が残るが、これは後に記す。
  • 代替は無い
    現在のNET清掃ボランティアは最上のものではないが、これに替わるものがないというのが率直な印象である。改めて書くまでもないが、良い点は生かし、問題点は改善してゆくしかないだろう。しかし活動への批判(問題点の指摘を含む)に寛容でないのは気になる点である。批判者を占め出し批判の声がなくなることは、NET住人の多くが現在の活動に満足していることを意味しない。

大きく変わった構図

  • NET主体から地元組織へ
    サポーターズ発足式やC列車の運行など、銚子電鉄を含む地元組織群が主体となるイベントが多くなった。もとよりNET主体の現地イベントがあった訳ではないが、11月15日の緊急報告以降の支援運動の広がりをNET発のイベントと捉えれば、その主体はNETから地元へ移ったと捉えてよさそうである。NET支援についても、銚電と直接に接触を持つグループが主体となっている。
  • 地元発イベントの課題
    サポーターズ発足式では、報道へのインパクトを狙って直前まで情報が秘匿された。C列車については不明だが、恐らく直前に運行が決まったのではないか。その他にも鉄道グッズ即売会などがあるが、総じて発表から実施までの期間が短い。
    短期間で銚子に行こうと決め、実行出来るのは身軽な者である。簡単に言えば青〜中年の独身者で鉄道趣味への身銭の投入を惜しまない者である。観光業が期待する家族連れや団塊世代は、「数日後にイベントがある」と聞いたところで簡単には旅行に出かけられるわけではない。スケジュール等が立て込んでいるのであろうが、イベント資源を有効に活用するには十分な周知期間と周知活動が必要である。当初から訪問を予定していた日が偶然にイベント日と重なれば来訪者には喜ばれるかも知れないが、それはイベントによって観光客が増えたことにはならない。
    また来訪者が休日に集中しており、必ずしもイベントだけによるものではないが、2月10日から12日にかけての連休日などは輸送力のキャパシティを超えるような状態となった。すでに来訪者が多ければよいという状況ではなく、今後は平日に集客できるイベントの開発が課題となるだろう。
  • 銚電支援者の消費者化
    イベントが地元組織主体となったことで、NET支援者の立場がイベントを消費する立場へ転換したというのが率直な感想である。NET支援も特定のグループ主体のもので、性格的には地元組織にかなり近いものになった。そして特定グループは匿名NET支援者の声を十分には吸い上げていないように見受けられる。地元組織と同様、特定グループからの情報も遅く少なくなり、銚電を巡る日々リアルタイムの状勢変化に沸いた11月当時の活気は今のNET掲示板には無い。特定グループと匿名NET支援者の間の情報格差は大きく、匿名NET支援者は今や「特定グループによるNETイベント、及び特定グループからの情報」を消費する立場になっている。
    NET掲示板では時折、銚電支援活動への強烈な批判(或いは誹謗中傷)が続いたかと思えば、今度は些か行き過ぎとも思える擁護が起こる。これが常態ではなく一時的に発生する理由は良く分からないが、いずれにせよNET掲示板に精通している者でなければ、支援活動への意見すらしにくい状況となっている。
    恣意的に使われることがあるのであまり使いたくない単語だが、「NET上のサイレントマジョリティ」がどのように形成されているか慎重に見極める必要がある。異論がNET掲示板に書かれないことは、異論が存在しないことを意味しない。自論とNET掲示板の総論が大きく乖離すれば、傍観者はNETイベントを消費することにさえ意味を感じなくなるだろう。
  • 敵は対抗者ではない
    ある宗教指導者の言葉に「愛の反対は憎しみではなく無関心」というものがあるが、これになぞらえれば銚電支援の敵は廃止賛成派や各種工作員(単なる荒し含む)ではなく、銚電への無関心である。
    リアル(NET外)での地域住人の声なき声はいずれ伝わるものなのかも知れないが、NETの声なき声は本当に何も伝わらない。街づくりでは実際に顔を合わす(或いは顔を合わさざるを得ない)場面も多いだろうし、問題があれば声が無くともぶつかり合うこともあるだろうが、NET上の声なき声は本人以外にとって、この世に存在しないも同然である。
    「声なき声」の拾い上げは街づくりにとっても重要な活動要素であると思われるが、NETの声の拾い上げにはリアルとは別のノウハウが必要である。声なき声は相手にせず大きな声を優先するというのも一つの対処法だが、それは無関心への導火線である。 地域というマスの中で賛同住民の比率を上げる街づくりと、マスのない全国のNET住民の賛同を増やすこととは大きく異なる。否応なく街と関わらざるを得ない地域住民と違い、NET住人は該当URLにアクセスしなければそれまでである。
    NETは無限に見えて無限ではない。関心を持って銚子電鉄の経過を継続して見る者の数には限りがあり、一度離れると元に戻る者は少ない。一大イベントや報道というカンフル剤は数を打つと効果が薄れるのは薬と同じで、同じ効果を期待するには更に強いカンフル剤を打たねばならない。著名人HPや趣味系HP(音楽や映像コンテンツ)など一部のNETコンテンツとは違い、事件/出来事系のNETコンテンツは広がってゆくのではなく、1度広がった後は狭まってゆくものである。どうも世の中には「一度逃しても次の魚がいる」と考える人が多いようだが、リピーターを大事にせねばならないことはリアルもNETも変わりがない。

品行方正

  • 見えなくなった本当の声
    1月30日付の銚子電鉄オンラインショッピングモール開設にあたっての挨拶文(PDF)を見ると、随分と文章が洗練されたと思える。まるで企業のプレスリリースのようである(実際そうなのだが)。良く言えば問題点が無いのだが、悪く言えば無味乾燥である。
    NET関係者も、匿名でない者の発言は概ね品行方正となった。銚電wikiニュース(現・LRWCニュース)を銚子電鉄を救えwikiから分離せざるを得なくなったここの管理人も人のことは言えないが、誰も本音を言わなくなった。それで問題がなくなったのであればいいのだが、無論そんなことはない。言わないというのは反発を警戒してのこと。支援/応援を求める一方で、周囲(特にNET)をある意味で敵視していることが伺える。
    11月15日の緊急報告は本音であり、だからこそ支援が集まった。その銚電関係者自身が本音を言えないというのは何とも皮肉だが、NET上の危機管理を考えれば「もっと本音を書け」とも言えない。ネット戦略には細心の注意が必要と書いたのも、銚電〇長の公表文を気に入らないと批判したのもここの管理人である。しかし構えているだけでは人を遠ざけるだけである。
    ヒントはあるように見える。開設以来変わらぬ調子で更新され続けている銚電次長ブログでの発言は、色々と変容せざるを得ない銚電関連人物の発言の中では異色であり驚異でさえある。ただ、全てのHP運用者に銚電次長と同様の資質を求めるのは無理というものか。全てを語っているわけではないにせよ、NET支援者が直接に銚電と繋がっていると強く実感できるのは、銚電次長ブログがほぼ唯一の存在となっている。それはきっと、ここには熱意や苦労や喜びがあり、嘘や変容がないからだろう。

模型の話題

東京マルイ、Zゲージへ進出



Last-modified: 2007-02-28 (水) (6274d)