9月23日、旧型車両さよなら運転
平成22年9月23日木曜日 (祝日) 、デハ701とデハ801のサヨナラ運転が行われました。これにより、銚子電鉄に於ける旧型車両の営業運転 (旅客を乗せての運行) は、全て終了しました。
公式HPに緊急報告が掲載されて、約4年。銚子電鉄の車両近代化は、ひとまず完了となりました。 1

デハ701

デハ701 デハ701

  • デハ1002(鉄子色)と編成を組むデハ701。9:50(銚子発下り列車)から6往復が運転されました。
     
     

デハ801

デハ801 デハ801

  • デハ1001(桃鉄色)と編成を組むデハ801。10:20(銚子発下り列車)から5往復が運転されました。
     

デハ801 デハ801

  • デハ801の側面に掲げられた、「惜別」 の文字が入った特製サボ。よく見ると、両側面で外川と銚子の記載が逆となっています。
     
     

下り列車

デハ801 デハ801

  • 銚子駅で出発を待つデハ801。車内には伊予鉄道社内鉄道クラブからの、さよならメッセージが掲示されています。

デハ801 デハ801

  • 立席が出るほどの乗車率ですが、訪問に時間の掛かる銚子とあって、午前中の乗客は少なめです。
  • 相棒のデハ1001の車内はガラガラで、車掌氏も手持ち無沙汰のご様子。ここからでも、デハ1001の先頭でかぶりつきをしている同業者らしき人々の様子が見えます。
     
     

2000形

2001F 2002F

  • チーバくんヘッドマークを付けた2000形を車窓から。2000形とは初対面ですが、今日は旧型デハ優先なので撮影はお預けです。のちに2001Fグリーン編成はデハ701の後ろに隠れてしまい、デハ2001を前方から撮れたのはこれ一枚となってしまいました。
     
     

外川

デハ702 ユ101

  • 外川駅側線の撮影し易い位置に留置されていたデハ702とユ101 (澪つくし)。両車とも10月初頭に笠上黒生へ移動し、風葬線に留置されています。
  • デハ702は検査標記が紙のようなもので覆われていました。ユ101は車内が資材置場となっており、天井内装の一部が腐食しているなど再起は難しい状態に見えます。
 

外川 外川

  • デハ701と1002の連結部分。繋がっているのは本当に連結器だけで、ブレーキホースなども渡されていません。協調運転はガックンガックン衝撃があると期待していたものの、加減速ともにいたってスムーズで、乗り心地は総括制御と変わらない感じでした。
 
  • ウロ覚えですが、外川の改札口近くで交わされた、高齢のご婦人と駅員氏との会話。
     
    「今日で最後なんだってねぇ。」
    「何十年走ったからねぇ。」
    「ワタシ、赤いのがいちばん好き。」
     
    静かながらも、長年乗り慣れた電車との別れを惜しむ地元利用者の姿勢が印象的でした。
 
 

犬吠

犬吠

犬吠 犬吠 犬吠

  • 天候が良くなかったものの、そこそこ賑わっていた犬吠駅。上画像右手前が、特設の銚電販売テントです。
  • 親子連れ観光客なども多かったものの、さよなら運転当日とあって同業者らしき人々の割合が高かったようです。また、さよなら運転目当ての親子連れも少なくなかったようです。
     
     

君ヶ浜

君ヶ浜

  • 先日の強風か何かで壊れてしまった駅名標。標記部分はそのままに、新しいパイプフレームで復活していました。
 

デハ801 デハ701

  • 君ヶ浜〜海鹿島間で撮影したサヨナラ列車。

君ヶ浜 君ヶ浜

  • 君ヶ浜〜海鹿島間の線路。新しいバラストが撒かれた跡がありました。
  • 定番の撮影スポットを車窓から。天気が良くないせいか、朝のうちは撮影者が少なかったですが、昼前ごろから横一線にカメラが並ぶほどに増えてゆきました。それでもギッシリと言う程でもなく、いつ来てもここで撮影できる程度の余裕はあったようです。
     
     

笠上黒生

デハ701 デハ701&801

笠上黒生 笠上黒生 笠上黒生

  • さよなら運転ヘッドマークを付けたデハ701と801の横並びが撮れるとあって、多くの撮影者で賑わった笠上黒生の銚子方構内踏切。到着した列車から行列をなして踏切へ行き、シャッターを押しては急いで列車へ戻るという光景が、列車の到着のたびに見られました。
  • ここに揚げた画像で受ける印象よりも、撮影者はかなり多くいました。踏切は複数以上の銚電職員によって監視を受けており、列車通過時はもちろん、上り列車到着時も過走(オーバーラン) 対策として一旦退去させる措置が取られました。一方で両列車停車中は踏切内等から撮影可能となっており、ファンの要望と安全対策の双方に配慮された撮影風景となっていました。
    職員の指示どおり撮影者は速やかに退避しており、当方の見る限りトラブルはありませんでした。
     
     

最終列車

デハ801 デハ801

  • デハ801の上り最終列車、外川から犬吠まで一駅間だけ乗車します。
 

デハ701 デハ701

  • 犬吠から外川へ向かうデハ701。午後3時過ぎの犬吠発下り列車、普段は乗客が少ないと思われますが今日ばかりは盛況です。
  • 右画像は、外川で出発を待つデハ701の上り最終列車。銚電最後となる旧型車両の営業列車です。多数のカメラで取り囲まれ、車内も乗客でいっぱいです。
 

デハ701 デハ701

  • かなり老朽化したと言うか、とうに寿命を超えた感のあるデハ701の鎧戸。窓の取手からは雨水が入ってきます。
  • 雨が激しくなる中、笠上黒生で営業列車として最後の列車交換。対向列車はすでにデハ801を落としており、デハ1001の銚子方正面が見えています。
 

デハ701 デハ701

  • 旧型デハ最終列車が銚子駅へ到着、雨の降るなかデハ701を降りた乗客はデハ1002や風車小屋のなかに逃げ込みます。
  • 左画像は、最後の客扱いのため客扉を開けているデハ701。数秒後、客扉が閉められ戸閉め表示灯が消灯します(右画像)。現役の銚電旧型車の車内へのアクセスが遮断された、最後の瞬間です。もう誰も、デハ701の「旅客」となることはありません。
 

銚子駅 銚子駅

  • 雨にも負けず、シャッターを切り続ける撮影者。その多くが、まだドアの開いているデハ1002へ乗り込み、再び仲ノ町へ折返します。
     
     

仲ノ町

デハ1002 デハ701 デハ701

  • デハ1002車内は身動き出来ないという程ではないですが、かなりの混雑でデハ1000形の定員(98名)よりは多い感じです。ミラーに映っているのは運転士ではなく車掌さんです。
  • デハ701回送列車が到着する前に、仲ノ町の狭いホームはギャラリーで一杯です。そこへさらにデハ1002の乗客が降りるため、ホームはぎゅうぎゅう詰めです。そしてさらに、連結部分を撮ろうとカメラを持った人々が動くので、ちょっと大変な光景になっています (といってもトラブルは無かったようで、怒号や罵声などはありませんでした)。
  • 全く曖昧ですが、元から駅にいた人が50人ぐらい、デハ1002の乗客が100人ぐらいとして、仲ノ町には一時的に150〜200人ぐらいいたのではないかと思います。
 

デハ801 2002F

  • 一足先に仲ノ町に戻っていたデハ801と、その隣の2002Fイオン編成。残念ながら、現地では特殊方向幕(京王→伊予→銚子) には気付きませんでした。
 

仲ノ町 仲ノ町

  • さよなら運転後に行われた、デハ701と801の撮影会。撮影は一回20人ほどに制限され、雨の降るなか順番待ちの行列が出来ていました。
 

仲ノ町 仲ノ町

  • 車庫を見学するには仲ノ町駅の入場券を購入する必要がありますが、当日は無料開放されていました。
 

クハ2502 デキ3

  • さよならイベント告知のサボを付けていたクハ2502。クハ2501も告知サボを付けて走っていたようですが、当方が見た時点では外されていました。
  • ツートン化されたデキ3。各方位から撮影できる位置に置いてありました。旧型デハ運行中は、2001Fグリーン編成は一両分ほど銚子寄りにいたため、デキ3は全方位から撮影できたかも知れません。
 

701&801 仲ノ町

  • デハ701と801の正面からのツーショット。一般参加者の撮影会のあとは、職員らが集まって最後の撮影。
 

701&801 701&801

  • 職員氏が旧型デハに乗り込みます。移動するのかと思いきや、カシャン!という音とともにデハ701のパンタが、続いてデハ801のパンタが下げられ、車内の明かりが消えてしまいました。職員もみな引き揚げて行きます。
  • あとでまた入換え等で動くわけですが、「銚電の旧型車の時代は終わった」、そのことを実感させられた寂しい瞬間でした。
     
     

祭りのあと

仲ノ町 デハ1001

  • パンタ下げのあと駅待合室に戻ってみると、殆んど誰も残っていません。あれだけ大勢いた撮影会参加者は、銚子駅まで歩いていったのか車で帰っていったのか、はたまた高速バスの停留所へ向かったのか。次の列車で仲ノ町から銚子駅へ向かった乗客は、一桁程度だったように記憶しています。
  • まだ写真の撮れる明るいうちに帰るのは勿体無いですが、なにせ訪問や帰宅に時間の掛かる銚子ゆえ、当方もここで退散です。銚子駅では先ほどまでの喧騒が嘘のように、デハ1001が次の発車を静かに待っていました。
     
     

雑感

2002F 2007年

  • 「47歳の新車両」 とも報じられましたが、雨のなか暮れゆく仲ノ町で、煌々と白い蛍光灯を灯していた2000形は十分に近代的で真新しく、構内狭しと鎮座する大きな車体の2両編成は頼もしく見えました。老いた旧型車が放牧された羊のように点在する仲ノ町構内(右画像) を目の前にして、これから銚電はどうなってしまうのだろうと考えていた3年前には想像もしなかった光景です。
  • 今では休憩施設や通路、トイレなどが整備されていますが、3年前の仲ノ町車庫には、観光客用の施設は何もありませんでした。ジャンクパーツやスクラップが無造作に置かれただけの構内は今よりずっと広く感じられ、あたかも昭和時代のままの趣きでした。いま改めて現在の写真と見比べてみて、僅か3年の間に懐かしく牧歌的な光景が失われたことに驚きを禁じ得ません。
  • 設備が改良されたのに、「あの頃の光景が懐かしい」 とか言い出すわけですから、マニアの心境ほどアテにならないものはありません。これからは新たにピットが設置され、仲ノ町の光景は大きく変わります。5年か10年もすればまた、今の銚電は「失われた懐かしい光景」となるかも知れません。
  • 以前からそうだったのか、或いは2000形導入という大仕事を成し遂げた自信からなのかは分かりませんが、駅のホームや笠上黒生の踏切、仲ノ町イベント会場で客の整理にあたる銚電職員の対応は、余裕を持ったものであるように感じられました。
    乗客の減少など些か気になることもありますが、2000形を導入した勢いで、今後も長く運行を続けて欲しいところです。
     
     

Last-modified: 2010-10-24 (日) (4935d)